“つかみ”はOK?

年間500人以上の心を開いてきたプロ・インタビュアー伊藤秋廣が、独自のヒアリング・メソッドを惜しげもなく全開公開する連続インタビュー企画。第三回目となる今回は、インタビュー冒頭、効果的な“つかみ”について語っています。

――インタビューの冒頭ではどのような点に気をつけていますか。

あらゆる対人ビジネスにおいていえることだと思いますが、やっぱり第一印象は大事。しょっぱな、ぐいっと相手の心を引き込むことを意識して臨んでいます。映画の冒頭シーンとか小説の書き出しとか、漫才や落語の“つかみ”みたいなもので、僕はそこに三つの鉄則をおいています。

ひとつめは、「インタビューを受けるのって楽しいなと思わせる」こと。インタビューはエンターテインメントだと思わせる。楽しいと思わせるんです。楽しいと人は勝手にしゃべりだしますから。

そういう意味で、僕はインタビューがはじまったとたんにバチンとスイッチを入れて、演者としてインタビュアーという役になりきります。

ふたつめの鉄則は、「スタート5分以内に、相手の心を開くべし」。限られたインタビュー時間ですから、何とか5分以内に相手の心を開いて、「こいつに何でも話していいかな」と思わせたいですね。

僕は、本題に入る前に少し相手を温めてあげます。瞬時に温めないとだめですなんですよ。だらだらやりすぎると逆効果。なかなか本題に入らないとテンションが落ちちゃいますからね。

まあ、営業と一緒ですね。最初に余談というか、あえて本題とは関係のない話から入ります。名刺のネタとかあるあるですよね。「珍しい名字ですね。出身地はどちら?」とか。

――人が心を開くポイントってどんなものでしょう。

たぶん、皆さんも経験あると思うのです。どういう方に心を開いてきましたか?おそらく、こんな感じじゃないでしょうかね。

まずは、好感が持てる人には心を開きやすい。外見の好みというのもあるかもしれませんが、まあ、いい感じの笑顔だったり、一生懸命やっている人や愉快な人、なんか、さわやかだねーとか、腰が低くて感じがいいとか、元気があるとか、礼儀正しいとか、そんな人に対して自然に好感を持ってしまいます。警戒を解くような温かい笑顔と声がけ服装、声のトーン。テンポにも留意してください。相手の雰囲気にあわせてください。

あとは、褒められると心を開きやすいですよね。ごますりはだめですよ。誉められたいポイントを外している人には、逆に「調子がよいヤツだ」と逆に嫌悪感を抱く可能性もあるから注意が必要ですけれど(笑)。速攻、相手を喜ばせるのは、自慢したくてうずうずしている話を見つけてほめてあげるんです。

――誉めポイントはどうやって見つける?

手っ取り早いのは、現場で拾ったネタです。お店の取材だったら、ちょっと早めに入って、誉めポイントを見つけます。店内のインテリア、客層とか雰囲気とか…。店頭で接客している従業員と軽く会話することもあります。探偵みたいですよね。そこで見つけた誉めポイントを話の中につっこみます。こいつ、わかっているじゃん、と思わせるのです。
こうすると、ごく自然に「先ほど現場の方にお聞きしたんですけどね」「先ほど拝見したのですけれど」と、自分の目で見た、自分の耳で聞いたことに対する素直な感想を述べることができます。

そして、なによりも、自分のことを理解してくれている人に対して心を開き、もっと話を聞いてもらいたいって自然に思うでしょう。こんなポイントを意識しながら、インタビューに入りますね。

相手を気持ちよくしてほぐしてから、「では改めまして本題」と切り出します。これで、話しやすい人にゆだねてインタビューされればよいのだという心理的メッセージを与えることができます。

そして、今回の取材の目的と流れを説明します。ここは割ときちんと、一流の営業マンの気分というか、ビジネスライクに進めると良いかなと思っています。

とにかく、相手に対して苦手意識は持たずに、相手をリスペクトして素直に話をすれば、間違いなく気持ちを開いてくれると思うのです。これってテクニック以前の基本的な話なのかもしれませんね。

(第四回記事へと続く)

伊藤秋廣の最新実績はこちら。
http://www.a-i-production.com/news.html

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