話が弾む“準備”とは?

年間500人以上の心を開いてきたプロ・インタビュアー伊藤秋廣が、独自のヒアリング・メソッドを惜しげもなく全開公開する連続インタビュー企画。前回の総論に続いて、第二回目となる今回は、インタビューに臨む際の“準備”について語っています。

――今回から実践編ということで具体的な方法論についてお聞かせいただきますね。インタビューを実施する前に、どの程度の準備をすれば良いですか。

これは結構、議論が分かれるところですね。しっかり勉強してこない記者に対して厳しい人とかいらっしゃいますね。でも、あくまで僕らは報道記者ではなくビジネスライターって立場で言えば、あまり準備をしすぎてはいけないって思うのですよね。あくまで僕は、ってことですけれど。

だってインタビューを受ける方が10年かけて蓄積してきた知識や技術や哲学をわずか数時間の調査で理解できるわけがないですよね。専門家へのインタビューとかシステム開発とか医療分野とかは特にそう。無理して知識を詰め込んだってどうにもならないし、むしろ中途半端な知ったかぶりは最悪です。わからないものは正直にわからないといっちゃいますね。そちらの方がむしろ受けがよい。

僕らはあくまで聞き手、編集のプロであって、インタビューイーと同じ土俵に立つことはできません。相手の話を理解して、どのように読者にわかりやすく伝えればよいかを考えればいいんです。

あまり調べ過ぎない方がよいってことの、もうひとつの理由としては、新鮮味がなくなるってこともあげられると思います。けっこうインタビューを受けている人なんか、他の公開記事など読みすぎるとむしろ弊害が起こると思っていて、例えば、いつも同じ質問をされて辟易していたり。しかもインタビューをする方も新鮮な驚きがなくなってしまいますよね。

これは、後ほど、本番編かなんかで詳しく説明しますが、相手の話に本気になって興味を持って話をきけば、喜んで話をしてくれます。そのためにも、無駄な知識を白紙にしておくべきです。

とにかく先入観を持たないと言うことです。フラットな状態でインタビューに望みます。先入観を持つってことは、すなわち人を類型化するってことですよね。こういう人はこうだって決めてかかるとむしろ、その人の本質とかけ離れたところで質問したり、対話が進んでしまう。そうするとできあがった記事も、なんかニュアンスが違うよねって話になってしまいます。

要するに人をカテゴライズすると、血液型A型はこういう人って、表面的な捉え方をしてしまう。でも、人ってびっくりするほど全員違うのだし、そのオリジナリティを見つけるのが僕らの仕事なんだから、インタビューをするモノにとって類型化ほどナンセンスなモノはありません。

むしろ必要なのは、質問をするにあたって必要となる知識、それは最低限、押さえておきたいですね。業界動向や一般常識などを身につけておかないと、ピント外れの質問をしてしまう可能性があります。例えば、業界常識なんか、新聞やニュースで理解できる程度の話でOKなので、それは知っておきたいですね。

――どうしたら話って弾むんですか?

本気で喜ぶ。あなたの話はちょー面白いという感情を表す。そうすると相手は楽しくなるじゃないですか。話していて、ちゃんと相手に響ているってわかれば、しゃべっていても楽しいですよね。合いの手とか反応って大事ですよ。「えーっ!すっごーい」みたいな嘘っぽい反応では、相手にもわかってしまいます。演技はだめ。共感は人工的につくるものじゃない。どこかに共感ポイントとかマジですげーってところを見つける。ぜったいに見つかるし、そこを掘るのが仕事です。金塊を掘り当ててマイニングするのが僕らの仕事です。

では、掘るって何?って話ですが、要はどうしてどうして?を繰り返しながら核心や本質に近づいていく作業だと思っています。なぜそれが生まれたのか?なぜ?なぜ?それはどうしてそう思っている?なんとなくやっていることはない。習慣でさえ、それをはじめた理由があるんです。だから掘っていく。金脈を掘り当てていくのです。

じゃあ、金脈って何?という話ですが、それって、僕が思うのは、その人やサービスの本質、核心というものです。あるいはその人の価値観の原点であったり、言葉というベールに隠された真意であったり。結局、その金脈が人や企業、サービスのオリジナリティに繋がるのです。

(第三回記事へと続く)

 

伊藤秋廣の最新実績はこちら。

http://www.a-i-production.com/news.html

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA