コミュニケーションから生まれる味

自らが料理を作るのはもちろん、レストランやカフェから依頼を受けて、テーマに沿ったメニューを開発したり、最近は生産者と企業との橋渡し役を担うなど、食に関する様々な活動に従事する杉山映美子さん。

“フードセラピスト”という肩書は、自らがつけたものではなく、彼女の料理を口にした知人の一言がきっかけとなり、いつしか周囲の人々の間で、そう呼ばれるようになったのだという。

 

「知人のセラピストが主催するサロンのお手伝いしたときのことです。“映美ちゃんが作る料理を食べると、カラダも心も嬉しくなるから不思議。まるで食のセラピストみたいだね”と言ってくれたのです。元々、味覚として美味しいだけでなく、食べている人の心に響いたり、その方の身体が細胞レベルで喜んだり、とにかく私のお料理でその方が元気になって、前に進んでいくためのお手伝いができればと考えていたので、その思いが伝わったのかなと嬉しかったですね。その気持ちや姿勢は今も変わらず、自分の軸になっているのは確かです」

 

杉山さんが料理を作ったり、メニューを考えたりするときには、いつでも提供する相手を知ろうと努めるのだという。

 

「目の前にいらっしゃるお客様であれば、直接的なコミュニケーションの中から、相手が求めるものをキャッチして、自分として最大限、何ができるかを考えます。味や食材の好みを聞くだけでなく、その佇まいや目線の動きから、相手のコンディションを読み取って、こちらから提案することもあります」

 

相手の好みや食材の旬や味付けなどの物理的な要素と、その相手へのこまやかな配慮という“思い”がバランスよく融合したときに、その人にとって、最高の味というものが具現化されるのだとか。

 

「お店のメニューを考えるときも、基本的な姿勢は同じです。このお店にやってくる客層についてしっかりリサーチして、そして今、彼らが何を求めているのか?あらゆる側面から考え、相手の立場になりきって想像していきます。用意したメニューを実際に食べられたお客様の反応も確認しながら、改善することも忘れません」

 

だからこそ、杉山さんが用意するメニューに、まるで個人的に用意もらったかのような温かみを感じるファンが増えているのだろう。現在は、青山にあるカフェ「Life Creation Space OVE」で杉山さんの料理を楽しむことができる。

 

食はコミュニケーション手段のひとつ。だからこそ、作り手の温かみが、伝わってくる。それこそが杉山さんの料理に支持が集まる理由なのだろう。

インタビュアー:伊藤秋廣(エーアイプロダクション

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